スマントラ・ゴシャール教授の命日

Filed under: コラム — sji_jimukyoku @ 2005.03.04

今日(もう昨日になってしまったが)、3月3日は、ビジネススクール時代の師、スマントラ・ゴシャール教授の命日だ。スマントラが(あえて、いつもそう呼んでいたように、スマントラと呼ばせていただく)亡くなったのは昨年。享年55歳。あまりにも早すぎる死だ。

これからまだまだ活躍すべき人であったと思う。時代がようやくスマントラが提唱していた「個を活かす」流れになりつつあるだけに、何ともその死は惜しまれる。

私自身にとっても、単に親しく指導していただいたという以上に、彼の提唱する考え方に大いに影響を受けていることには驚きを覚えるほどだ。具体的な内容は著書に譲るが、いわく、アントレプレナーシップを発揮せしめるような環境こそが企業の成長を促すのだ、いわく、明確な業績基準と情報公開が自己規律を生みだし、アントレプレナーシップに(良い意味での)歯止めをかける。

ちょうどタマゴから生まれたばかりのひな鳥が、最初に目にした動くものを親鳥と思ってしまうように、ビジネス教育の入り口で彼に出会えたことは、私 自身の経営観をある程度決定づけたのではないかと思う。結果として、私自身もアントレプレナーシップがある環境で働きたいし、いずれはそのような環境を生 みだす経営者になりたいと思う。

個人に信頼を置くという観点でもう一つ特筆すべき点は、スマントラのマネジメント教育へのコミットメントだろう。象牙の塔にこもった研究者という印 象はみじんもなく、良いマネジメントのプラクティスを狩猟し、そこから得た学びを学生に伝える一流のコミュニケーターだったとあらためて思う。あまり知ら れていないが、故国のインドにおいて、Indian School of Businessの初代学長としてその設立に力を尽くしたことは大きな貢献だろう。

だから、私自身が、現在マネジメント教育に携わっていることには、彼の衣鉢を継ぐものとしては(勝手に思いこんでいるだけだが)、とても誇らしいこ とだ。彼がそうしたように、私自身も自分のクラスを受けた方が新たなマネジメントの価値観をかためてもらえたら、これほどうれしいことはない。

最後に、印象に残っている彼の言葉で締めくくろう。

「大事なのは尊敬の念(respect)と好奇心だ」

彼と一緒にある日本企業のケースを書いていた時に聞いた言葉だ。スマントラがトップ・マネジメントをインタビューすると、インタビューされている側 が楽しんでイキイキと話し出すのを見て、思わず聞いてしまった。「インタビューのコツってなに?」、と。そのときにかえってきたのが上記の言葉だ。

まさしく、世界に対して、尊敬の念と好奇心を持ち続けたまま、スマントラは逝ってしまった。

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