マネジメント教育の潮流: 「リフレクション」

Filed under: コラム — sji_jimukyoku @ 2005.08.15

最近のマネジメント教育の世界では、「リフレクション(振り返り)」が大きな潮流になりつつあると感じる。たとえば、ミンツバーグが音頭を取る新しいタイプのプログラムIMPMは、 構成自体がリフレクションを中心としており、それを実装するために第1のモジュール(全体では5モジュール)では”Reflective mindset”を養うことにその目的がおかれており、かつ全体としてもセッションごとに”Reflection Paper”なるものの提出を義務づけている。

あるいは、リーダーシップ育成において世界的に評価が高いCCL(Center for Creative Leadership)でも、360度評価を組み込んだプログラムが盛り上がりを見せているが、これも「(他者の評価を通した)自己の振り返り」がマネジ メント教育のニーズにマッチしているからこそと考えられる。

ただ、一口に「リフレクション」と言っても、その意味合いを考えると様々な切り口が考えられるのではないか。まず、非常にシンプルなレベルでは、 「リフレクション」の目的を、自分のスキル開発ニーズの特定に求めることができる。たとえば、あるプロジェクトを終えた時に、「上手くいかなかったのはど こか」、「上手くいかなかったのは自分のどのような行動が足りなかったせいか」を反省し、「なぜその行動がとれなかったのか」を分析した上で、「その行動 を可能ならしめるためにはどのようなスキル開発が必要か」を考えることは、日常で誰もが行っていることであろう。

ただ、最近のその隆盛を見るにつけ、上述のシンプルなレベル以上にもう少し深い意味合いがリフレクションにはあるのではないかとも感じる。キーワードで言うと、たとえば、「記憶の定着化」だ。

良くあることだと思うのだが、セミナーなどに出席して何かを学んだとしても、1週間後には忘れてしまうケースがある。ましてや、仕事と直接つながり がない分野であればなおさらだ。たとえば、「ビジネス・パーソンの常識だから…」と言われてファイナンスを学んでみたものの、その内容をすっかり忘れてい るという方もいるのではないか(自問自答しても、アンレバー、リレバーなどの専門用語はほぼ忘れてしまっている)。このような、単純な、「忘れてまう」を 防止するために「リフレクション」(=復習)が有効であるのは教育心理学上も証明されている。

もう一歩踏み込んで、「リフレクション」の効用を考察してみよう。というのは、マネジメント教育において重要なのは、単に「学んだことを知識として 記憶にとどめる」というレベルでとどまらないことだからだ。「優秀なビジネス・パーソン」というのは、様々なことを知っている人のことではなく、精度の高 い「ものごとを判断するしくみ」によって、状況を認識し、仮説を構築し、意思決定をする人のことだ。つまり、この「ものごとを判断するしくみ」を養成する ことが、単に知識の量を増やす以上に重要であると考える。

じつは、この「ものごとを判断するしくみ」を頭の中に構築すること(心理学の用語では「スキーマを構築する」という)も「リフレクション」を通して 可能だと考えている。つまり、外部から得た知識を「リフレクション」するプロセスとは、ものごとを整理し、関連づけ、一つの体系として頭の中に構築する作 業に他ならなということだ。

先ほどのファイナンスを例に取ると、「アンレバー」、「リレバー」という知識を覚えていること自体は、経営者にとってはそれほど重要ではない。むし ろ、ファイナンスを学ぶ(そしてその過程において「リフレクション」する)ことによって得るべきは、ビジネス上の意思決定をする際に必要な、「おカネにま つわるものごとを判断するしくみ」であろう。たとえば、「企業体というものは、『価値を作って、計って、分配する』機能なくしては成り立ち得ない」、とい う判断基準を持つことこそが、経営者に必要であると考える。

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